サブプライム住宅ローン危機についてのおぼえがき

 藤崎はお金がありませんでした。でも家が欲しかったのでローンを使って借りることにしました。ローン会社はお金がない藤崎にも貸してくれました。ローン会社は藤崎への債権(取り立てる権利=利子をもらう権利)を証券会社に売りました。そして藤原や藤川や藤村も同じようにローンを組んでいて、その債権が同じように証券会社に売られていました。藤崎や藤村はお金がないのでローンがちゃんと払えるかはわかりません。なので証券会社は藤崎や藤村のローンをごちゃごちゃまぜまぜしました。そうするとよくわかんないので安全に見えてめちゃいいよってお墨付きがもらえるのです。なので売れました。リスクがあるけどその分金利も高いローンが、ごちゃまぜになることでリスクが無いように見えたから、そりゃ売れるわけです。
 藤崎が買った家の値段は上がり続けていました。なので、いざとなれば家を売ればローンをちゃらにできました。それにローン会社が最初は低金利でいいよって言ってくれたのでとても借りやすい状況でした。ローンを貸せば藤崎みたいにお金がない人にも家を買ってもらえるし、それは債権として証券会社に売れるので家を作れば作るほどもうかりました。なのでめっちゃ作りました。ものが増えれば一つひとつの価値は減ります。なので家の値段が少しづつ下がり始めました。そしてこのタイミングで低金利でいいよ期間が全国的に終わり始めました。藤崎は低金利でいいよ期間が終わり次第はじまった高い金利はもともとお金がないので払えそうにありませんでした。なので、住んでいる家を売って、そのお金を元手にまた新しいローンをもらおうとしました。でも、家の値段は下がっています。売ってもお金にならないし、さらに言えば家を売ってもローンをまかなえない、つまりローンの方が今の家の値段より高くなっていました。藤崎は今のまま高金利を毎月払うことはできないし、家を売って違う家のローンを組むこともできなくなっていたので、破産して家をでるしかありませんでした。つらい。
 その時藤崎に対する債権は紙くずになりました。藤崎が払う金利はもう入ってこないし担保だった藤崎の家の値段も買った時よりだいぶ下がってしまったからです。おんなじように藤村や藤川の債権も紙くずになりました。もともとハイリスクハイリターンの債権なのでまあしゃあないっちゃしゃあないのですが、証券会社がパッケージしていたので超安全に見えていたこともあり、めっちゃいろんな人たちが持っていました。めっちゃいろんな人はめっちゃめちゃ損しました。


住宅市場への盲信 サブプライム層へのモラルを欠いた貸付 どうしようもない犬の糞を猫の糞で包んでラッピングしたCODを売り出した証券会社 とそれを取引することで手数料を稼いでいた投資銀行 そしてリスクを承知せずに投資しまくった投資家

金融って面白いなあ。サブプライム住宅ローン危機、こんなに面白いストーリーってあんまり現実にないと思う。