カタツムリの抜け殻


やっとついた
借りぐらしの
街中の
扉をあけては
指を鳴らしていく
きみは
両手を
水でいっぱいの
コップに

ここは消しゴムのようにしろい部屋

東京へ行くなら
電車、おぼえないとね

水彩できみに表情

を描いていく
つもりだった
僕は
原色が
肌のうえで
まざっていくのを

見ながら


連れだって原っぱへ行かなきゃ
僕たちは新人なんだから
それに
たくさんあるでしょ
けーおーせんとか
しんとしんせんとか
うまく使えば
息をせずに
東京を通り抜けられるかもよ


僕は今日くらい
白線にそって
アスファルトにひかれた
ただしいカーブ

にそって
歩いていたい

さよなら

どうぞ絵の具は
水道水で
といてください
坂の多いこの街では
僕はいつでも
素敵でした