満ちる

午後の先には
幸せに満ちた町がある
幸せに、満ちた

光る木々に
広がる雲に
風を切る自転車に
幸せが満ちる
あちこちで人々は美しさに目を細め
こども達が何度目かの鬼をしている
すりへった運動靴のかかとを
あてがうように、
公園の側溝のなかでかくれる
落ち着きに、
まぶしい方角にある壁へと
ボールを投げる
その繰り返される腕に、
また何もできなかったと
寂しがる高校生の大きな鞄を
だいだいに染めるように、
満ちる幸せに気づく僕に。